LOCATION MAP
~ ヴェネツィア ~

1.

サン・マルコ広場
露伴が写真を撮りながら歩く場面

世界遺産に登録されているヴェネツィアのシンボル的なスポットであり、
かつてナポレオンが“ヨーロッパで最も美しい広場”と称したことでも知られる。
広場の三方を囲む宮殿には、図書館や警察、博物館などが入っている。
老舗のカフェも並んでおり、最も古いものは1720年開業のカフェ・フローリアン(Caffè Florian)。

2.

サンティ・ジョヴァンニ・エ・パオロ聖堂
【教会の前】 露伴が写真を撮りながら歩く場面

カトリックの修道会ドミニコ会のゴシック様式の聖堂。
原作漫画の「懺悔室」にも描かれている露伴シリーズの象徴的な場所とも言える。
聖堂の隣には市民病院が隣接している。病院の建物は15世紀に建設された信徒会館で、その入口の柱には、頭にターバンを巻き左手に心臓を持った奇妙な男の落書きがある。1501年、トルコ系の父を持つ男が母親をナイフで刺し殺し、心臓をえぐり出すという凶行に至った。それを目撃していた彫刻家が刻んだものだ、という伝説がある。

3.

サン・ロッコ教会
【懺悔室の場面】

露伴が仮面を被った男の恐ろしい懺悔を聞くシーンなど本作のメインの撮影場所の1つ。ペストを救済する “聖ロッコ”が祭られており、教会内ではルネッサンス期の画家・ティントレットの作品を鑑賞できる。1575年に発生したペストが終焉したのは、この聖人の奇跡だとされている。ちなみに、このペストではヴェネツィアの人口の三分の一が犠牲となったが、ティントレットとその家族は全員感染を免れた。

4.

アトリエ・マレガ
【仮面工房】

サン・ロッコ教会の近くにあり、ヴェネツィアの伝統的な衣裳や仮面を制作・販売・レンタルなど行っている工房。
玉城ティナ扮するマリアが働く仮面工房として撮影。
作中で登場する「ペストの医者」の仮面は、ペスト患者を診察する際の防護服の一部で、16世紀にフランスで考案されたといわれている。
医者たちはこの仮面の他に、全身を覆うフード付きの黒いマントと黒色のつば広帽子と手袋を身に着け、患者の身体に触れる際には数十センチの長さの細い棒を使用していた。

5.

リアルト市場 ペスカリーアとエルバリーア
【裏路地、市場】 露伴が通り過ぎる場面

リアルト橋付近に市場ができたのは1097年にさかのぼる。食料品だけでなく、金、布地、武器、宝石、香辛料などを扱う店、銀行や海運業に関わる保険屋などもこの地区に集中し、ヴェネツィア共和国の商業の中心となっていった。主に青果を扱う露店が集まっている区画を「エルバリーア(Erbaria)」、魚屋が並ぶ2階建の建物は「ぺスカリーア(Pescaria)」と呼ばれている。

6.

コルテ・ノーヴァ
【雨宿りする軒先】 マリアとロレンツォが出会う場面

「コルテ」とはイタリア語で建物内部にある中庭をさすが、ヴェネツィアではいくつかの建物に囲まれた小さな広場のことをいう。洗濯物を干したり椅子を並べておしゃべりをしたり、といった地元の人々の交流の場でもある。

7.

ドナ橋
【海沿いの道】 露伴がサン・ミケーレ島を眺める場面

ガラスで有名なムラーノ島行きの船着場のたもとにある大きな橋。隣接する同名の館はヴェネツィア共和国元首を3人も輩出したドナ家が17世紀に建てたもので、現在も同家族が所有している。

8.

旧グリエルモ・ペーぺ兵舎
【解体工事現場(25年前)、芸術大学図書館建設予定地】

16世紀にリド島に建設されたヴェネツィア共和国旧兵舎。大学の学生寮として修復される予定。

9.

マルコ・ポーロ要塞
【廃墟】 冒頭、露伴が取材に訪れる場面

1800年代前半にオーストリアによって建設され、第二次世界大戦中も稼働していた沿岸要塞。

10.

コルテ・ベルレンディス
【裏路地】 露伴がスリに絡まれる場面

17世紀初頭に建設されたベルレンディス宮に隣接するコルテ。ベルレンディスはその家系を13世紀にまでさかのぼることができる一族で、17世紀に対トルコ戦争において戦果をあげたことでヴェネツィア共和国での地位を確立した。

11.

サン・ミケーレ島
【共同墓地、教会前の回廊】露伴が墓地を訪れる場面、田宮を追いかけて走ってくる場面

「墓地」を意味する「チミテーロ(Cimitero)」の名称で呼ばれることが多い。ナポレオンが、衛生上の観点から墓地は市街地の外に建設せよ、という法令を1804年に公布したため、もともと修道院と墓地のあったこの島に大工事が施され、ヴェネツィアの墓地として現在まで稼働している。

12.

バルバリーゴ・ミノット宮
【オペラ劇場】

バルバリーゴ家の祖先は、9世紀にサラセン人の海賊を打ち破り、そのひげを刈り取って帰国したという。一族は19世紀初頭に断絶し、現在の館の所有者はドナ家。オペラ歌劇の普及を目指す音楽協会の拠点になっている。

13.

アッカデーミア橋からの景色
【運河】オペラ観劇の翌朝の場面転換。ロレンツォがマリアを訪ねる前

アッカデーミア橋は1934年に建設された木造の橋。ここからカナル・グランデ(大運河)を望むと、17世紀にヴェネツィアをペストから救ったとされる聖母に捧げられた白亜のサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂と、その背後にあるプンタ・デッラ・ドガーナまでが見渡せる。カナル・グランデの絶景の一つ。

14.

カンピエッロ・バルバロ
【運河沿いの道】 露伴が泥棒を追うマリアと出くわす場面

「カンピエッロ」とは「小さな広場」の意味。「呪われた館」ダーリオ宮の裏庭に面している。

15.

フォンダメンタ・オンニサンティ
【道】 露伴とマリアが話しているところに、京香とロレンツォが水上ボートで現れる場面

観光ルートから外れた静かなヴェネツィアの風景が垣間見える場所。

16.

ラ・ボッティーリア
【オープンカフェ】 田宮が食事をする場面、露伴が京香に、出会う前に起きていたことを話す場面

軽いつまみとワインを楽しめるカフェ。ヴェネツィアには同様の店がたくさんある。

17.

フォンダメンタ・ディ・フェルツィ
【裏路地】 田宮がマリアの結婚式を阻止しようと全力で疾走する場面

「フォンダメンタ」は水路沿いの道をさす言葉である。

18.

サン・フランチェスコ・デッラ・ヴィーニャ広場
【教会前】 マリアの結婚式を前に、露伴と田宮が対峙する場面

ヴェネツィアで最も古い葡萄園を所有している修道院が隣接する広場。20本もの柱で支えられた巨大な渡り廊下がある。広場にある館と修道院をつなぐため、19世紀に建設されたものだが、鉄道の高架線下を思わせる様相で、ヴェネツィアでも他に類を見ない。

COMMENT

高橋一生

【岸辺露伴役】

20年に岸辺露伴を演じさせていただいてから、これまでテレビドラマシリーズは4シーズン、前回の映画も入れて全10話、5年目になります。以前にもコメントさせていただきましたが、これだけ長い時間を一つの役と生きられることは、俳優として貴重な体験ですし、幸運に感じています。加えて、今回は原作に於ける「岸辺露伴は動かない」の原点である「懺悔室」を、幸運なことに原作通り、全編イタリアのヴェネツィアで撮影しました。定めていない原作世界の時系列が、生身の人間の僕が演じさせていただく岸辺露伴の世界では、一つに繋がっていきます。

ここにきて、ようやく原作の原点に手が届きました。この幸運も生身の人間だからこそ感じられることでしょうか、これまでご一緒してきたスタッフに加え、イタリアの陽気で真摯な素晴らしいスタッフが加わり、また新たな岸辺露伴の世界を作れたのではないかと思います。前回、パリのルーヴルの「後悔」で自身のルーツや過去、受け継がれるものに触れた露伴が次に遭遇するのは、捉える人によっては表裏一体となる現在の「幸運」です。原作ファンの方、これまで僕が演じさせて頂いてきた露伴の世界を愛してくださる方、どちらの方達にとっても、また、今から作品を見てくださる方にとっても、どなたに於いても楽しんで頂ける作品になっています。新たに加わった出演者の方達もご一緒する事が光栄な俳優さんばかりです。是非そちらも楽しみにして頂けると嬉しく思います。僕が露伴としてここまで演じさせて頂いた幸運と、携わって下さった皆さんとの出会いの幸運。その重なりとも云えるものを、劇場に足を運んでくださる皆様にお届け出来ること。今から楽しみにしております。

飯豊まりえ

【泉京香役】

「岸辺露伴は動かない」原作の原点でもある、
『懺悔室』の作品をやらさせて頂くことになりました。
今回、撮影で訪れたヴェネツィアは、歴史と芸術が息づく街でした。
いい緊張感、高揚感が漂っている撮影現場で、
特別な時間を過ごさせていただきました。
再び、露伴の世界に参加できたこと、
幸福な時間を噛み締めながら、
大切に演じさせていただきました。
ぜひ映画館で、楽しんで頂ければと思います。

井浦新

【田宮役】

小学生の頃から読み続けている荒木飛呂彦先生の作品群。
今の自分を形成する上で様々な影響と学びを受けて育ち、今も愛読し続けている特別なものです。
星の数ほどマンガ原作の映像作品はありますが、私にとって荒木先生作品に参加することは、ただ嬉しいだなんて簡単には言いがたく、覚悟の意味も度合いも変わってきます。と同時に、言葉では表すことのできない大歓喜にも襲われています。
共演したキャストの皆さん、そして監督を始めとするスタッフの方々からも、現場では同じ様な想いが伝わってきていました。原作への愛に満ちた全身全霊の魂のぶつかり合いと、イタリアのスタッフの方々と心を通わせ支え合った敬意溢れるクリエイションが、撮影地のヴェネツィアで毎日繰り広げられる幸せ。俳優という生業を続けてきて本当に良かったと感じる瞬間が、この作品にはたくさんありました。
早朝まだ誰もいない路地を歩いて支度場へ向かい、舟に乗り現場へ渡り、岸辺露伴の世界に生きる。
それをひたすら繰り返し暮らしながら撮影した日々は、全てが大切な心の風景として刻まれています。
愛と敬意でつくられた奇妙な物語から湧き上がる人間讃歌を、皆さんにスクリーンで覗き観していただける日が待ち遠しいです。

玉城ティナ

【マリア役】

家族。それは私にとって、生まれた時からそこにあった存在。今回の撮影を通じて、その意味を改めて考え直し、自分なりの答えを見つけることができました。
宿命と運命の違いとは?幸せとは何か?ヴェネツィアの街でマリアとして立つとき、仮面やステンドグラス、陽の光までもが問いかけてくるようで。それに精一杯応えようと挑んだ日々でした。

「岸辺露伴は動かない」シリーズの原点ともいえる作品に参加できたことを心から嬉しく思っています。
皆さん、本当にありがとうございました。
この作品が、あなたにとって何を残すのか――とても楽しみです。

戸次重幸

【ソトバ役】

個人的に愛読させていただいている荒木飛呂彦先生原作の作品に出演!
本当に光栄です!
全編ヴェネツィアロケという贅沢な撮影も、夢のようでした。
今回私は、スマホが顔認証してくれないほどのメイクをして臨んでいます。
一つ心配事として、この情報解禁がなければ、
この作品に私が出演していると誰も気付かないのでは?という不安があるほどです(笑)。
ただそれでも良いと思える程、役と作品に対して「これでもか!」というほど、拘らせていただきました。
主演の高橋一生さんを筆頭に素晴らしい共演者の皆様、そしてスタッフの皆様の「熱意」と「作品愛」も素晴らしく、ぜひ多くの皆様にご覧いただけることを願っております!

大東駿介

【水尾役】

原作、ドラマのファンとして、
岸辺露伴シリーズのルーツである『懺悔室』に参加出来ることを心から嬉しく思います。
僕としては日々壮絶なシーンの連続で、心を鎮めるために夜な夜なヴェネツィアの街を歩いていましたが、気付けばロケ地に足を運んでしまい、この美しい景色の中最高の環境で、逃れられない水尾の呪縛に身を置けることに、ゾクゾクとした心地良い幸福感を味わってきました。臓の奥から感情を吐き出して作品に残してきましたので、是非劇場でご覧頂きたいです。

渡辺一貴

【監督】

「岸辺露伴は動かない」シリーズ最初の作品「懺悔室」。
この記念すべき大切なエピソードを、オールヴェネツィアロケで撮影できたなんて、クランクアップした今でも信じられない。そこは陰と陽が混在する、不思議な街だった。廃墟、墓地、教会、貴族の館、迷路のような石畳の路地。そしてそこにいつものように凛として立つ露伴先生…。
撮影した全ての場所、全ての時間が愛おしい。いつまでも撮り続けていたい、この時間が終わらないでほしい…。
そんな思いを抱きながら撮影を続けるうちに、「『懺悔室』はこの街でなければ生まれなかったのだ」と確信した。この物語は「呪い」の物語でもあるが、「愛と覚悟」の物語でもあったのだ。退廃的で不道徳な気配に満ちた水都で繰り広げられる、弱くて滑稽で、それでも懸命にもがき続ける人々の奇妙な世界を覗き見て欲しい。

小林靖子

【脚本】

原作「懺悔室」は、初めて岸辺露伴をメインにして発表された作品です。ドラマはもう五年目ですが、このファーストエピソードに辿り着くには必要な時間だったと思います。これも皆様の応援あってこそと感謝いたします。舞台はヴェネツィアです。露伴はいつものように、見たいものを見、聞きたいものを聞き、結果幸運という名の災難に襲われます。ぜひスクリーンで見届けていただければ幸いです。